掲載誌名:繊研新聞
日付:2002年3月5日

タイトル:ブランド作りは「物語」から


ブランド作りは「物語」から
レゾナンス 「共鳴」柱に開発支援 

宣伝広告やコンサルタントの新興企業、レゾナンス(本社東京、近藤正純・ロバート社長、電話03・5784・3181番)はブランド構築で「ものがたり化」を提唱してブランド構築の支援業務を進めている。個人の感動や共鳴を基にした定性型マーケティングによるブランド作りで、組織体制や仕組みまで変えてブランドを研ぎ澄ますことを提案する。

「ものがたり化」は、従来は非論理的とされてきた「感情をうごかすこと、共鳴を広げること」をブランド作りの核心に据える。作り手の思いや買い手の感情をエピソードや物語として発信し、一人ひとりの心に訴えるブランドイメージの確立をめざす。

旧来のマーケティングによるブランド構築は、潜在分析によって法則性を見つけ、年齢別などのターゲットを定めて売っていく、定量分析の手法をとる。需要拡大期の理論といえる。これに対して「ものがたり化」では確定したニーズは存在せず、人の関係性と同様に常に動くものと想定し、ニーズはこたえるのでなく、作り出すもの、ターゲットは「好きな人、感動するすべての人」とする。

複雑系に向かうたm。法則性の発見よりアプローチ、プロセスを重視する。仕組みの中心にあるのは会社やシステムではなく、人であり、個人の思い。それが物語やエピソードとして他人に伝わるときに人と人がつながり、夢、現実、思いでと時空を越えた共鳴を作り上げ、各人にとってオンリーワンの価値が出来上がるとみる。

具体的には、作り手や買い手を主人公にし、それぞれの思いを物語化し、話の発展は主人公たちに任せて、奇想天外で予定調和を避けたストーリーを作り上げる。オンリーワンをテーマにするのも一つの方法。ときには一件無謀とも思われる挑戦、物語が人を引き付ける。それらを手軽に読める小冊子にまとめるのと併せて、主人公以外に共感者や関係者を巻き込む。マスメディアやインターネットで共感のプロセスを発信して協栄へと発展させる。

すでにこの手法を大手のビールメーカーやゲームメーカーなどが採用し、業績を伸ばしている。 「コロコロ変わるトレンドで消費者の強迫間をあおる手法は限界にきている、もはや個人の感性に訴えないと売れない時代。そもそも消費者は、好きか嫌いかで判断している。そこに焦点を当ててブランドを作る段階に来ている」と高畑龍一副社長。

同社は四年前に出版社として起業し、十数誌のミニコミ誌の出版ファンドなど幅広い事業を手掛けてきた。その中で「複雑系のマーケティング」の研究開発に挑み、「ものがたり化」のブランド構築にたどり着いた。自社理論を実践し、個人を重視した事業、組織作りを進めており、昨年から希望者を独立させ、三社を新設した。経理・財務・管理業務などはすべて外注にして、小さな会社、本部を設け、オフィスもコミュニケーションを重視した空間として新しい企業像作りに挑戦している。


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