掲載誌名:販促会議
日付:2001年2月号

タイトル:「アーリー・アダプター」からのくちコミを主導


「アーリー・アダプター」からのくちコミを主導

ワーナー・ブラザーズ映画「レッドプラネット」

タイムワーナーエンターテインメントジャパン/ワーナーブラザーズ映画は、2001年1月13日に公開予定の映画「レッドプラネット」の宣伝に、米国で「アーリー・アダプター・マーケティング」と呼ばれる手法を採用、「くちコミ」による宣伝活動を展開している。

先端的な映像内容に先端的な宣伝手法を採用
    
「レッドプラネット」の監督は、ナイキ、バドワイザー、ボーイング、アメリカン航空、マルボロなどのコマーシャル制作を手掛けるアントニー・ホフマン氏。その映像内容は最先端の域に達する。


ワーナー・ブラザーズ映画では、「レッドプラネット」が先端的な映画であるため、先端的な宣伝手法が効果的と判断。「アーリー・アダプター」へのアプローチを開始した。

「アーリー・アダプター」は、常に時代の先端にあって、情報に敏感かつ、その他の消費者に対して大きな影響力を持っている層を指す。

「アーリー・アダプター・マーケティング」を採用した経緯について、同社宣伝部長・加治慶光氏は、「通常、映画のマーケティングは、フォロワーとマスが中心となります。今回はもう少し先端的なところからくちコミを加速化することによって、より広い客層を取り込むことを考えました」と説明する。

有名カフェ15店舗で「くちコミ」による宣伝

具体的には、10月28日から、東京の渋谷、原宿、青山、代官山、恵比寿地区など、情報感度の高い若者が多数集まるカフェ15店舗に、映画のテーマと連動した装丁の雑誌や、予告編を収めたデジ・カード(名刺サイズのカード型CD-ROM)を配置。カフェを訪れるファッションリーダーに直接訴えかけた。

今回の取り組みは、雑誌出版を支援するレゾナンスと提携。「広告批評」や「アット・シブヤ・ピーピーピー」などのアート関連の雑誌の装丁を「火星」をテーマにデザインしてカフェに展示した。

加治氏は、「11誌それぞれデザイナーが『火星』をテーマにデザインし、個性的な装丁に仕上がったと思います。通常、看板を設置できないカフェのなかで、これらの雑誌が看板の役割を果たしています」と話す。

また、「レッドプラネット」のデジ・カード2500枚を、カフェにて無料で配布。デジ・カードからの公式サイトへのアクセス数で効果測定したところ、配布した2500枚の内15%以上が公式サイトへアクセス。「レスポンスとしては良い結果だと認識しています」(加治氏)としている

通常プロモーションと連動させることで効果がアップ

そのほか、今年流行したストッキング「スティ・フィット」の映画連動商品の発売を計画している。

通常、映画のプロモーションはパブリシティ展開や、テレビCM、新聞広告など、マスメディアを活用した宣伝がほとんど。公開の1カ月ほど前から展開する。だが、今回の「アーリー・アダプター」は、さらに1カ月早くから開始した。

カフェプロモーションの告知は、公式サイトのほか、ツタヤ・オン・ラインのプッシュメールを活用。今後は、通常プロモーションとして、試写会、マス(1月中旬)へのプッシュ・メールを実施していく。

「実際、この『アーリー・アダプター・マーケティング』だけでは、直接動員に結びつかないはず。フォロワーをいかにフォローアップするかが非常に大切だと思っています。この流れが作れると、マスに広まる時に非常に効果が高いと考えています」(加治氏)

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