掲載誌名:新文化
日付:2001年1月11日

タイトル:「イケてる!」広報・リクルート作戦


「イケてる!」広報・リクルート作戦
千葉商科大 ムック形式のPR誌発行

ファッション・生活雑貨記事も

「校名の変更」「有名人講師の起用」「駅伝への出場」などでイメージアップを図ろうとする近年の大学リクルート戦略のなか、千葉商科大学(加藤寛学長)は出版界を巻き込みながら、ユニークな広報・リクルート活動を展開、話題を呼んでいる。

同大学では昨秋、大学のPR誌「スクール・スタイルブック」をムック形式で2万部作成して大手企業百数十社に配布する一方、取次会社を通じて全国の書店に配本している。従来の大学広報誌とは趣が異なり、内容はファッション誌そのものである。

将来の受験生を意識し高校生モデルを採用。彼らがカジュアルな服装で大学のキャンパス内やその周辺を闊歩する姿や、受験生時代を楽しくしてくれるファッションや生活雑貨などのアイテムが誌面を飾る。

とくに目を引くのが巻末の「大学・予備校のプライベート大公開」のコーナー。千葉商科大学以外の現役大学生にもインタビューして、受験生時代の日常生活や大学での感想などを紹介している。その中の同大学学生のコメントが奮っていて、「受験中の平均勉強時間」の設問に対し、「1時間」などと率直に回答している点である。

他の大学も含め、「大学は結構面白い」というメッセージを伝えるため、加藤学長はムックを制作したという。従来ならマイナスイメージにしかならない上記のような学生のコメントに対しても、「率直な姿を見せれば、安心して大学生活を過ごせる」と考え、反対する声も少なくなかったが、編集者に一任し、掲載に漕ぎ着けた。キャパシティの広さを示す意味でもそのままにしたという。

ムック刊行の発想は、同大学のマクドナルドが出店したのがきっかけ。同社の藤田社長と会い、同社が行ったイメージアップ戦略でムックが活用され、成功した事例を聞かされたからだ。そこでマクドナルドのムックの発売元として実績があるレゾナンスに依頼、書店配本も行うというユニークな展開となった。編集業務はファッション個人情報誌「dish」を刊行しているトライベッカが当り、「加藤学長の大学を変革したいという意識と発想に感動して取り組んだ」と同社代表の中垣淳氏は語っている。

販売実績が確定するのは今春以降となるが、高校生からの反応もあることや、同大学生の「進歩的だ」「イケてる」などの感想も多く聞かれ、結果次第では来年も実施する意向もあるそうだ。雑誌低迷が続く出版界と小子化に悩む教育界が連携できた事例として、注目される。

(C)宣伝会議