掲載誌名:デューダ
日付:2000年1月12日号

タイトル:快進撃!フレッシュカンパニー


文化にMBA理論を合体させた出版界の寵児

同社はマスコミ等、各方面から熱い視線を集めている掛け値なしの「注目企業」躍進も目覚ましく、昨年当初7名だった社員数は昨年末には30名を超え、売上高も99年2億円に対し、2000年は20億円を見込んでいるという。

二つの出来事を機に貴重

近藤社長は業界未経験でありながら、金融界から出版界に身を投じた経歴の持ち主。そこで、まず最初に、その間にどんないきさつがあったのかを伺ったところ、「2つの大きな転機」を挙げてくれた。

ひとつ目の転機は、アメリカ留学中、現地の友人に「君は本当に金融の仕事が好きで銀行に入ったのか?」と訊ねられたこと。思わず絶句した社長はこの時、就職先に興銀を選んだ根拠は、ブランド志向以外のなにものでもない、と気づいたのだ。

さらに決定的な転機は、祖父の著作物を「発掘」したことであった。 「株式に関する本で、内容的にも今に通 じるものがあり、これはぜひ本にしたいと。ところが、どこの出版社もとりあってくれませんでした。」

憤慨した社長は、それなら自分で世に送り出してやると決意、興銀を退職し自ら会社を興した・・・・。これが出版界入りの経緯であったという。

業界に衝撃を与えた出版ファンド

とはいうものの当時の手持ち資金では事業を軌道に乗せるには心許なかったため、社長はあるプランを実行に移した。それが、出版ファンドという「ミニ・プロジェクト・ファイナンス」である。

「収支計画や戦略を分厚い提案書に盛り込み、紙問屋や印刷会社を中心に投資を募りました。本が売れればファンドで儲かる。また、当社の出版物を扱うことで、本業で利益が出る。ハイリスクではあるが、二重のペイが見込める、『戦略的先行投資』をセールストークにしたところ、おかげさまで2週間で募集締切するくらいの凄い反響がありました」。

こうした画期的な方法で資産調達をクリアできた背景には、近藤社長がこれまで培って来た最新の経営理論があったことはいうまでもない。

市場予測は通用しない

同社の事業は大きく3つに分けられるのだが、同社設立の原点が最も端的に表れているのは、なんといってもオリジナル出版部門だろう。

「嫌いな仕事はしない。全員で好きなことに楽しく取り組んだ時に生まれるパワーを信じようというより、それしかないと思います。なぜなら、今の時代、市場予測はあてにならないからです」。

世間のニーズに合わせるのではなく、逆にマーケットを「エネルギーのこもった本」で引っ張って行くというのだ。MBAを修めた社長だけに説得力があるものの、果 たしてそんなことが可能なのか。

「沖縄アクターズスクール校長の対談本は増刷を重ねていますし、 MBAの理論で風俗店のシステムを分析した書籍も2万部売れました」。

近藤社長は、同社が将来飛躍的に成長しても、「大企業病」に陥らないよう、オリジナル出版のスタンスは変えるつもりはないという。また今後の事業展開については、「当面 は企業やクリエーターのプロデュース戦略と、中小出版社のマネジメントサポートに注力したい。媒体の二次利用のひとつとして、昨年末『カリスマ雑誌サイト』を作りました。このように将来的には、より出版の枠を超え、全く新しいコンテンツビジネスを創造していきます」。

株式会社レゾナンス
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前6-19-13 J6ビル8F
TEL.03-5766-1171 FAX>03-5766-1177
http://www.resonance.co.jp

【事業内容】出版業、出版事業支援、その他
【設立】98年
【資本金】2000万円
【売上高】2億円(99年見込み)20億円(2000年予想)
【社員数】30名

■代表者/近藤正純ロバート
サンフランシスコ生まれ。中・高はイギリスで過ごす。慶応義塾大学卒業後、日本興業銀行入行、融資・人事業務を担当する。在職中に米国コーネル大学院に留学、96年にMBA(経営学修士)を取得。97年同行を退職、98年有限会社レゾナンス出版を設立する。99年12月株式会社レゾナンスに改組。

同社の事業は大きく分けて3つに分けられる。
1. パブリッシャーズ・クラブ部門は編集プロダクションのアウトソーシング業務。経理や資金調達などの煩雑な業務を代行することで、編集業務に専念できる環境を提供することが目的。
2. 従来のマーケティングやプロモーションに、自分で自分をプロデュースするという支店を持ち込んだSPP(セルフ・プロデュース&プロモーション)部門。
3. オリジナル出版部門。ちなみにレゾナンスとは「共鳴する」の意味で、改組の際に出版を社名からはずしたわけは、より幅広いフィールドでのコンテンツづくりを目指すため。

■この会社のココが新しい
1. 資金調達の方法
2. 出版社の枠を超えた、コンテンツの数々