掲載誌名:株式市場新聞
日付:1999年12月21日

タイトル:コンテンツ事業は宝の山


コンテンツ事業は宝の山
レゾナンス近藤正純ロバート社長語る

出版ファンドを組成し異色の出版ベンチャーとして注目されているレゾナンス(本社・東京支部や、社長・近藤正純ロバート氏、資本金二〇〇〇万円)が、また新しいビジネスをスタートさせる。販売提携している三五社のカルチャーマガジンの内容をインターネットで公開、アクセスする読者の意見や議論の調査・分析情報を提供するコンテンツ・サービス事業である。2001年に株式上場を目指す同社の現状、今後の展開について近藤社長は、次のように語った。

「出版ファンドは、私が勤めていた興銀などの大手銀行が大型プラント向けに組成するプロジェクト・ファイナンスを出版事業に応用したものだ。匿名組合方式で出版業界を中心に満期二年の四〇〇〇万円の資金が短期間に集まり四冊の書籍を刊行する。すでに三冊を出版し四冊目にかかっており、四冊合計の実売部数が十二万部に達すると利回りは十四.二%となる。このシステムはどんぶり勘定だった出版事業をリスクの所在を明らかにし収益性を上げるビジネスとすることができる」 「出版ファンドは当社にとってフェーズ1の事業だ。フェーズ2、3とさらに事業を進めている。フェーズ2では、中小出版の経理、広告宣伝、販売などのマネジメントを代行するアウトソージング事業を行っている。日本には四〇〇〇社の出版社があるが、このうち三〇〇〇社が大手取次に取次口座を持っていない。当社はこの代行をする一方で管理業務も受託、出版社が編集、制作に専念できるようサポートする。すでに三五社の管理業務を受託しており来年末には二五〇社に拡大する計画を進めている。

雑誌情報を2次利用
2001年に株式公開へ


「フェーズ3は、このアウトソーシング事業をさらに派生させるもので、受託会社の出版物の二次利用を進める。12月24日にインターネットのサイト『イージャングル(e-jungle)』(注)をオープンし、受託会社のクラブカルチャーマガジンの内容を無料公開する。そしてここにアクセスしてきた読者の意見や議論を調査・分析した情報を各企業に提供するコンテンツ・サービスにつなげる。この雑誌は『TOKION』『dish』など発行部数は二〜三万部だが、熱烈な読者を持ついわばカリスマ雑誌で編集者自体がカリスマ的存在となっている。

そうした読者の情報が三五誌分集まるコンテンツは宝の山で、来年はさらに二五〇誌に拡大する」 「社名をコンテンツサービス事業にあわせるために変更し『出版』を削除し、『レゾナンス』とし、有限会社から株式会社に改組した。売り上げも事業の多角化により今年の二億円から来年は二〇億円に拡大する。2001年には株式の公開も目標に置いている」

(注):現『Jammin'(ジャミン)』