掲載誌名:新文化
日付:1998年7月30日
タイトル:タイトル:ブックファンド方式第1弾『ONLY ONE』

レゾナンス出版
ブックファンド方式第1弾『ONLY ONE』 初版2万部で7月17日刊行

元興銀マンらによって今年3月に設立されたレゾナンス出版は7月17日、「ブック・ファンド」で資金調達して刊行する書籍の第1弾として、『ONLY ONE』を出版した。同書は、安室奈美恵やSPEEDを育てた沖縄アクターズスクールのマキノ正幸校長と慶大経済学部の島田晴雄教授の共著で、芸能と大学というまったく異質な世界の視点から、一人ひとりが唯一の個性(ONLY ONE)を発見し、それを伸ばす教育に転換すべきとする教育論を展開している。体裁は四六版、252頁、本体1600円。初版部数は2万部。

法人3社と個人3人が投資

同社が組んだブック・ファンドは、匿名投資組合方式で総額4000万円。2年間に書籍4冊を刊行、1冊平均で3万部(合計12万部)の実売が達成できた場合、予想年利14%を配当するというもの。1タイトルで12万部以上のセールスがあった場合など、目標合計部数を上回った利益に対しては、出資比率に応じて再配分する。今回のファンドの投資家は、出版関連企業の法人3社と個人3人。1人当たりの投資金額は最低額が200万円、最高額は1000万円。

同社では7月18日、発売日に合わせて東京・八重洲の八重洲ブックセンター本店で、マキノ、島田両氏のトークショーやB・B・WAVESのミニコンサートなどの発売記念イベントを行い、一般 読者300人が参加、200冊の売り上げとなった。書店からの引き合いも多いため、8月6日に3000部の重版を決めた。また、取引取次も従来のトーハン、日版、大阪屋、栗田に加え、8月から新たに太洋社との口座を開設、重版分を配本する。

近藤社長自ら書店営業

同社の高畑龍一取締役は、18日のイベントに忙殺されて取次や調査協力書店の売行きデータの集計、分析まで手が回らないというが、「手応えは感じている」と話す。また、近藤正純ロバート社長は福岡、札幌、名古屋、大阪などの地方都市で行われる同スクールのオーディションに同行し、エリア内の書店営業に余念がないという。出版界に新風を吹き込む若手集団の新企画からは当分目が離せそうにない。