掲載誌名:読売新聞
日付:1998年6月22日
タイトル:ベンチャーNOW出版計画で投資を募る

元興銀マンが設立「レゾナンス出版」 近藤正純ロバート社長(33)

ベンチャーNOW
出版計画で投資を募る


4月に出版した同社の第一作、「成功術Xでいこう」(安生浩太郎著)は、都内の各大手書店でベスト10に入る順調な売り上げとなっている。生き方論、経営論、ベンチャー企業論など多面 的な内容が読者の心をつかんだようだ。

会社設立の中核メンバーの社長の近藤さんと取締役の高畑龍一さん(34)は、最近まで日本興業銀行に勤めていた。発足間もない企業にとっては資金不足が最大のネックだが、2人は銀行時代の経験を生かして、独自に自社の投資ファンドを作った。

投資対象は「今後1年間の出版計画」で、投資家から約5000万円を調達した。販売の実績に応じて配当をする。不動産開発などに使われるプロジェクト・ファイナンスの手法を取り入れたものだが、出版業界では初めての試みだ。

近藤さんが興銀に入ったのは88年。「バブルとその崩壊を経験し、社会、経済を支えていた旧来の価値が破綻していることを思い知らされた」という。出版事業に乗り出したのは、「新しい時代の指針を探るような仕事をしたい」と思ったからだ。一足早く、興銀を辞めていた高畑さんに話を持ち掛けて、今年3月に、会社設立にこぎ着けた。

目標は、21世紀版の「学問のすすめ」とあくまでも高い。映像メディアへの挑戦も視野に入れている。