掲載誌名:新文化
日付:1998年4月2日
タイトル:マーケティングや資金調達で新機軸  レゾナンス出版スタート

マーケティングや資金調達で新機軸  レゾナンス出版スタート

日本興業銀行のOBらが3月5日設立したベンチャー企業、レゾナンス出版(本社=東京・港区、近藤正純ロバート社長)は、マーケティング手法や資金調達面 などに新機軸を打ち出し、出版界に新風を吹き込もうとしている。

書籍出版第1弾となる『成功術Xでいこう』(安生浩太郎著、本体1400円)は20代後半から30歳代のサラリーマン向けビジネス書。欧米の編集手法を取り入れ、ファッション誌のように、ビジュアルを意識したイメージ写 真を数多く盛り込み、内容の見開き完結などで読者に読みやすい構成を採用している。

また、著者についても新メッセージを発信する新しい才能を積極的に起用する方針。

著者の安生氏は野村証券出身で、米国公認会計士の資格取得スクールを運営するベンチャーの旗手。各界でもそのビジネス哲学が注目されており、その成功のノウハウをまとめたのが同書である。 出版マーケティングを重視する同社は、テレビや雑誌、インターネットなどを駆使したクロスメディア戦略や、海外同時発売などで話題づくりを行う。著者やデザイナー、カメラマンなどに対し、印税のステップ制、売行きに応じた累進報奨を導入。「ゲーム業界などに流出した才能を出版界に引き戻したい」(近藤社長)という。また、運営資金を広範に確保するため、映画製作などでは一般 的なファンドを組む。出版コンテンツを投資対象とし、例えば3冊分で5000万円というように、資金集めをする。

今後は3カ月に2冊のペースで、大学教授やベンチャー企業経営者らのビジネス関連書を中心に刊行する。取次はトーハン、日版で近く口座を開設予定。大阪屋、栗田とは交渉中。売り上げ目標は「あるにはあるが、今は出版界で認知を受け、意識革命を行うことが先決」とのこと。マーケティングの一環として、手始めに都内の書店300店を巡回、企画説明のほか、書店のホームページづくりの支援も行っていく。